犬の死亡要因の変化
犬の死亡要因は、20年前と比べると随分変わってきています。現在の死亡原因のトップは、腫瘍(ガン)です。
ウイルス性疾患に対する予防接種が徹底してきたために、犬のジステンパーなどの伝染性の病気で死亡するケースは、極端に少なくなりました。
また、心臓内に寄生するフィラリアによって多くの犬が命を落としていましたが、投薬が容易で有効な予防薬が普及し、都市部では典型的なフィラリア症は、あまり見られなくなったようです。
これらの病気による死亡率の低下は、有効なワクチンや予防薬の開発によるところが大きいのは事実ですが、しっかりとワクチンを接種し、予防薬を投与した責任ある飼い主の存在があって、初めて成り立つものです。
では、現在、犬はどのような原因で死亡することが多いのでしょうか?
心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、腫瘍性疾患などで死に至る病気は多々ありますが、頻度の高い疾患としては、心疾患、腫瘍性疾患があげられます。
心疾患といっても、フィラリア症ではなく、心臓の弁がうまく閉じなくなって血液が逆流したり、心臓の筋肉が弱って力強く収縮できないために起こる障害です。
近年、腫瘍が増加傾向にある理由として、ペットの平均寿命が長くなり、多くの動物が腫瘍にかかりやすい年齢まで生きるようになったことがあげられます。
2000頭の犬の死後解剖を行った結果、全体の23%、10歳以上の犬では45%が腫瘍のために死亡したという報告もあります。