植村 直己を支えた犬

名犬物語

 

 日本の冒険家、植村 直己さんをご存知でしょうか?植村さんは、モン・ブラン、キリマンジャロ、アコンカグア、エベレスト、マッキンリーと五大大陸最高峰の山をすべて征服した人物として有名です。  

 

 その植村さんですが、犬を連れて旅に出たことがありました。北極をグリーンランドからアラスカまで1万2000キロを犬ゾリで横断する過酷な旅です。

 

 植村さんは、1974年12月29日、北極圏1万2000キロの旅に向けて、12頭の犬が引くソリでグリーンランドから出発しました。  

 

 犬ゾリのリーダー犬は、引き綱が2メートルほど長くなっていて、ほかの犬たちを引きながら走るのが役目です。 

 

 植村さんは、最初、けんかの強い犬をリーダー犬にしましたが、少しもいうことを聞いてくれませんでした。その後も、何度かリーダーを変えてみても結果は同じでした。  

 

 そこで、チームの中で、どの犬ともけんかをしなかった一頭のメス犬を先頭に走らせたところ、ほかの犬たちは一生懸命走り始めました。  

 

 植村さんは、この犬を「アンナ」と名づけました。  

 

 このアンナとの、絆を深めたエピソードがあります。 

 

 ある日、植村さんのチームは、氷の薄い海にぶつかりました。犬たちは、なかなか彼の指示通りに動かず、引き綱がもつれてしまいます。  

 

 そこで、植村さんは、ソリから引き綱を外して、もつれをほどこうとした時、犬たちが一斉に暴れ始め、引き綱をつけたまま、闇の中へと走り去ってしまいました。  

 

 一瞬の出来事に、植村さんは茫然自失になります。  

 

 一人になった植村さんは、ここで死ぬわけにはいかないと奮起、近くのエスキモーの村まで歩いていこうとしたそのとき・・・

 

 何かが植村さんをめがけて走ってきます。  

 

 よく見てみると、アンナが他の逃げた犬を引き連れて戻ってきたのでした。喜んだ植村さんは、アンナを抱きしめ、頬ずりをしたそうです。

 

 かくして、植村さんは、アンナのおかげで九死に一生を得て、旅を続けることができたのでした。  

 

 無事旅を終えた植村さんは、アンナたちを日本に連れ帰っています。帰国後、アンナは旭川の旭山動物園に引き取られ、4頭の子犬を産んで16歳で他界したそうです。

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